あなたはどのくらい自分の心の状態を把握できていますか?
しんどさや、ストレス、苦労、などが続くと、人は強くなり一般的に言われる根性ってやつもついてきます。
ですが、やはりいいことばっかりはなく、失っていくものがあるのではと思います。
私はセラピストとしての専門的な知識を学んだり資格を取ったりしながら、数は少なくても仕事の依頼を頂いていた時期がありました。
学びと自分のやりたい仕事を両立させるためにはフリーな時間を作れる仕事が必要で、時給も良く融通の利くコールセンターの仕事をしていた時期がありました。
仕事の内容はクレジット代金を滞納した人へ督促電話をかけることでした。
未体験の督促業務には不安がありましたが、「一次督促(ついうっかり忘れた人など)のお仕事で安心です」の言葉に惹かれ応募しました。
しかし、、、採用されてから督促のエキスパートである同僚に言われた言葉で目が覚めました。
「一次督促と言っても、悪意のある三次督促も最初は一次に含まれているから三次の人とも結局は関わることになるんですよ」
あ、、、とこの仕事を選んだことを後悔した瞬間でした。
研修期間が終わり、私はさらに後悔します。
「引き落としができませんでした。●●日までにお支払いください」で終わりと思っていたのに、
「はいわかりました」と言ってくれる人なんて一握り。
大抵はこんな感じに言われて電話を切られるのです。
「払えたら払ってるわ!」
「金なんかあるか!」
「お前が払え!」
「忙しいとこかけてくるな!」
「年金は15日、調べてかけて来い」
払わないことを申し訳ないと思うわけではなく、払えるかボケ!くらいの感じで皆さん仰います。
なので、朝から晩まで(6時間くらいですが)罵声を浴びせられて終わります。
1日に対応する電話の回数は、自分が手を使って番号をプッシュするものではなく、
パソコンを通してすき間時間なく架電されるシステム。
間髪入れず電話がつながり機械の様にしゃべり続ける。督促する。情報を入力するの繰り返し。
しかも、1時間に誰が何件処理したかはデータ化され、ランキングもされるので遊んでいるわけにはいきません。
おそらく1時間に50件くらいは対応していたと思います。
その内容のほとんどが「アホかボケ」的。
でも、私はそんなにストレスには感じていませんでした。
電話でしゃべるだけ。いくら怒鳴られても殴られるわけじゃない。時給もいいし、シフトは自由だし、残業したら結構な金額をもらえるし、これは結構良い仕事。
という感じでセラピストになる夢なんて、もう遠くに行っていました。この仕事をした方が楽だとか、リーダーになったら時給が上がるからもっとたくさん件数をこなす努力をしようかしらくらいの感じになっていて、自分がなんのためにこの仕事をしているのかを完全に忘れている状態でした。
そんな話を心理学を教えてくれている先生に笑い話のつもりで話したら、先生は顔色を変えて言いました。
「あなたは自分の心が傷ついていることわかっていますか??」
私は意味が分かりませんでした。
だって、もう怒鳴られることには慣れているし、電話の相手が殴りに来るわけではなし、ただパソコンに向かってお金払ってと言っていたら相手が払おうがキレようが関係ないわけですから。
キョトンとする私に先生は言いました。
「ちゃんと心が傷ついていることを感じてあげて。
傷ついているから、セラピストになる夢がどうでもよくなっていることに気づきなさい。
朝から晩まで罵倒されて平気な人なんていませんよ!その仕事は決して楽な仕事ではありません。」
私はその場ではあまりピンとこず、先生大げさ~と思いましたがしばらくして思い出したのです。
仕事からの帰りの夜道、「なんで私は借金を滞納している人に1日中怒鳴られているんだろう・・・」と涙が出た日があったことを。最近、何もやる気が起こらなくなっていることを。セラピストとして頑張る気持ちがなくなっていることに。
そこでようやく気付きました。私は傷ついていたことを。
そのあとこの仕事はすぐに辞め、セラピストの仕事以外しないと決意して今に至ります。
あることだけに夢中になったり、目先の利益のために自分の意思を曲げたり、誰かのために犠牲になったり、私が頑張らなければ!などと心のバランスが崩れると、人は自分の心がわからなくなるのではないかと思います。
言い換えるなら、痛みに慣れるという感じでしょうか?
慣れるのなら問題ないのかもしれませんが、秘かに失ってしまうものがあるのではないかと思います。
例えば、健康もそうです。
一生懸命は素敵ですが、「しんどさに慣れる」のは良いことばかりではない気がします。
ストレスを抱えて当然だろうとい環境にいて、「私は全然平気♪」と思う人は今一度、
自分の状態を客観的に見てください。
もしあなたの大切な友達がそんな生活をしていたら、「あ、そう」で話を終わるか考えてみてください。
ぜひ、新しいスタートのためにも、自分のピュアな心を感じてみてくださいね。